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街の本屋が業態転換してコンビニ書店になる理由
2014年をピークに出店数が減少してFCオーナーの確保に苦戦しているファミリーマート。そして2008年から坂を転げ落ちるように書店数と売上高と営業利益を減少させている日販。この2社が手を組みました。
街の本屋にとってコンビニといえば敵。売れ筋の本ばかり仕入れ、しかも営業時間は24時間。どこで買っても値段が同じ本ならば、買いたい本が決まっていれば何時にいっても開いているコンビニに軍配が上がります。
2017年7月、兵庫県加西市の50年の歴史をもつ本屋が業態転換してコンビニになりました。その店の名は「ファミリーマート西村書店加西店」。書店がファミマに加盟し、コンビニ書店になったのです。
なおファミリーマートは、コンビニ書店に先がけて3月に新潟県南魚沼市のスーパー「Aコープ」と組み、生鮮と本を扱うファミリーマートAコープ城内店をオープンさせています。
【純粋なコンビニ以外を攻めるファミリーマート】
会社の社員用自販機でファミマの商品を販売したり、ドン・キホーテへのコンビニ出店をするなど、純粋なコンビニ以外への出店方法を模索するファミリーマートがまたやってくれました。
今度は街の本屋がコンビニと融合しました。ファミリーマートと組んだのは日本出版販売(日販)で、日販と取引のない書店がコンビニ書店になる場合、本の取次会社を日販に切り替えます。
ファミマは、売り場の面積が230〜990平方メートルの書店を中心にコンビニ書店への転換を提案する活動をスタートさせました。オーナーが小売業にあかるく、商圏が半径3キロから5キロとされる書店の集客力はたしかに魅力的でもあります。
いまのところファミリーマート西村書店加西店の滑り出しは順調。客単価は1100円前後に下がったものの、客数が増加し、売上高はなんと8割増。来店客の4割が本とコンビニ商品の両方を購入しています(書店で本を買う来店客は3割とされている)。
【セブンイレブンは売り場縮小】
コンビニといえば、販売データをもとに売れ筋だけを扱っています。売れない商品はすぐに店頭から姿を消します。
じっさいセブンイレブンの次世代型店舗では、書籍の売り場面積は縮小しています。コミックスや書籍をふくむ雑誌の販売金額は2016年までの10年間で6割も減っています。セブンイレブンはかわりに、自社通販のオムニ7でのインターネット販売に力をいれはじめました。
FC加盟店を増やす目的のファミリーマート。本の取り扱いを減らしているセブンイレブン。軍配はどちらにあがるでしょう。
【本屋が儲からない、潰れる理由】
全国の書店は減少の一途をたどっています。書店のない市町村は370になりました。
日販の2008年3月期の売上高は6471億円で営業利益は123億円でした。しかし2017年3月期の売上高は5023億円。営業利益は16億円にまで下がっています。
売れなかった本を返品できる本屋が儲からない理由としては
・買わなくても店に入れる
・買わなくても立ち読みで何時間でもいれる
・本は万引きしやすい、されやすい
・本は利益が少ない
・インターネット通販で本を買う人が増えた
・本屋に来るひとが減った
などが考えられます。
その点、コンビニへ用がないのに入るひとはトイレを借りる以外は少ないため、店に入れば何かしら購入する可能性は本屋よりも高く。もちろん、コンビニ書店でも立ち読みや万引きリスクは存在します。
24時間営業にすることで書店の時の倍以上に営業時間が伸び、店長やアルバイトの仕事量も増加、仕事内容も書店にくらべて多岐にわたり負担が重くのしかかります。
生き残りとシェア獲得を狙うコンビニと書店のタッグ。ファミマによれば、全国に12000店ある書店のうち、1割の1200店がコンビニ書店に業態転換する可能性もあるとのこと。
さて・・・高いFC加盟料を払って活路を切り開く書店オーナーはどれだけいるでしょう。